英語習得に必要な時間は子どもと大人ではどのように違う?

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英語習得に必要な時間は子どもと大人ではどのように違う?

2025年2月27日

英語習得に必要な時間:一般的な目安

英語習得に必要な時間は、どのくらいのレベルを目指すかによって大きく異なります。「日常会話レベル」「ビジネスレベル」「ネイティブレベル」など、目標とするレベルによって、学習時間も学習方法も変わってきます。この章では、一般的な目安と、その目安がどのように算出されるのかを解説します。

CEFRと学習時間の関係

CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)は、外国語の運用能力を評価・判断するための国際的な指標です。CEFRでは、言語能力をA1(入門)からC2(熟達)までの6段階に分け、それぞれのレベルに到達するために必要な学習時間の目安を示しています。例えば、ケンブリッジ大学英語検定機構によると、CEFRの各レベルに到達するために必要な累積学習時間の目安は以下のようになっています。

  • A1:約70~80時間
  • A2:約150~180時間
  • B1:約350~400時間
  • B2:約500~600時間
  • C1:約700~800時間
  • C2:約1,000~1,200時間

これらの時間は、あくまでも目安であり、学習者の母語や学習環境、学習方法などによって大きく変わります。また、この時間は、教師の指導の下での学習時間、自習時間、英語に触れる時間などを全て含んだ累積時間です。一般的に、日本語を母語とする人が英語を習得する場合、他の言語を母語とする人よりも多くの時間が必要になると言われています。

上記はあくまで目安であり、レッスン以外の自習時間や、英語に触れている時間(洋画を見る、洋楽を聴くなど)も含まれます。

FSIの調査結果

アメリカ国務省の機関であるFSI(Foreign Service Institute)は、外交官などの職員に外国語研修を行っており、各言語の習得に必要な時間を調査しています。FSIの調査によると、日本語話者が英語を習得するのに必要な時間は、約2200時間(88週間)とされています。これは、最も習得が難しいとされる言語グループ(カテゴリーV)に分類されており、他の言語グループ(例えば、スペイン語やフランス語などのカテゴリーI)の約4倍の時間が必要とされています。

なぜ日本語話者にとって英語習得が難しいかというと、日本語と英語は言語的な距離が遠いからです。言語的な距離とは、言語の構造や文法、語彙、発音などがどれだけ似ているか、または異なっているかを示すものです。日本語と英語は、文法構造(語順など)や文字体系(ひらがな・カタカナ・漢字とアルファベット)などが大きく異なるため、日本語話者にとって英語習得は、他の言語を母語とする人に比べて、より多くの時間と努力が必要となるのです。

日本人の平均学習時間

日本人が学校教育で英語を学ぶ時間は、中学校で約350時間、高校で約500時間、合計で約850時間とされています(文部科学省の学習指導要領に基づく)。しかし、この時間数では、CEFRのB1レベルに到達するのも難しいとされています。社会人になってからも英語学習を続ける人はいますが、その時間は人によって大きく異なります。仕事で英語を使う必要がある人や、海外旅行が好きな人などは、積極的に英語学習に取り組む傾向がありますが、そうでない人は、英語学習に時間を割かないことが多いです。総務省統計局の調査によると、社会人が学習・自己啓発・訓練に費やす時間は、1日平均6分という結果が出ています。この時間には、英語以外の学習も含まれているため、英語学習に費やしている時間はさらに少ないと考えられます。

これらのことから、日本人が英語を習得するためには、学校教育での学習時間に加え、自主的な学習時間を確保することが不可欠であると言えます。

子どもと大人の英語習得時間の違い:学習方法と脳の発達

子どもと大人では、英語習得に必要な時間が異なると言われています。一般的に、子どもは大人よりも言語習得が早いと考えられていますが、それはなぜでしょうか?この章では、子どもと大人の英語習得時間の違いを、学習方法と脳の発達の観点から解説します。

子ども(特に幼児期)の学習特性

子ども、特に幼児期は、言語習得において非常に有利な時期です。その理由として、以下の3つの点が挙げられます。

    • 臨界期説

臨界期説とは、言語を自然に習得できる限界の年齢があるという考え方です。臨界期は一般的に9歳頃までと言われており、この時期を過ぎると、言語習得の能力が徐々に低下していくとされています。ただし、臨界期については諸説あり、明確な年齢は定まっていません。しかし、幼少期に言語学習を開始することの有効性は、多くの研究で示唆されています。特に、発音に関しては、臨界期の影響が大きいと考えられています。

    • 自然な習得

子どもは、英語を「勉強」としてではなく、「遊び」や「コミュニケーション」の手段として自然に習得することができます。例えば、英語の歌を歌ったり、英語の絵本を読んだり、英語のアニメを見たりする中で、自然と英語の音やリズム、単語やフレーズを覚えていきます。また、子どもは、間違いを恐れずに英語を話すことができるため、スピーキング力も自然に伸びていきます。

    • 遊びを通した学習

子どもは、遊びを通してさまざまなことを学びます。英語学習も、遊びの一環として取り入れることで、子どもは楽しく英語に触れ、自然と英語を身につけることができます。例えば、英語のゲームをしたり、英語でごっこ遊びをしたり、英語で料理をしたりするなど、さまざまな方法で英語を遊びに取り入れることができます。

大人の学習特性

一方、大人は、子どもとは異なる学習特性を持っています。

    • 論理的な理解

大人は、物事を論理的に理解する能力が高いため、英語の文法や構文を体系的に学ぶことができます。また、英語と日本語の違いを理解し、効率的に学習を進めることができます。

    • 体系的な学習

大人は、自分で学習計画を立て、目標を設定し、それに向かって努力することができます。また、さまざまな学習教材やツールを活用し、自分に合った学習方法を見つけることができます。

    • モチベーション維持の重要性

大人の英語学習は、仕事や家事、育児など、他の活動と並行して行われることが多いため、モチベーションを維持することが重要になります。目標を明確にし、達成感を得られるように工夫したり、英語学習仲間を作ったりするなど、モチベーションを維持するための工夫が必要です。

大人は、論理的な思考力や学習経験を活かして、効率的に英語を学ぶことができます。しかし、子どものように自然に英語を習得することは難しいため、意識的に英語に触れる機会を増やし、継続して学習することが大切です。

脳の発達と英語学習

脳の発達も、子どもと大人の英語習得時間の違いに影響を与えます。子どもの脳は、柔軟性に富んでおり、新しい情報を吸収しやすい状態にあります。特に、言語に関わる脳の領域は、幼児期に急速に発達します。そのため、この時期に英語に触れることで、英語を母語のように習得できる可能性があると考えられています。一方、大人の脳は、子どもの脳に比べて柔軟性が低くなっています。しかし、大人の脳は、長期記憶や論理的思考に関わる領域が発達しているため、文法や語彙などを体系的に学ぶことができます。また、大人は、過去の学習経験や知識を活かして、効率的に英語を学ぶことができます。

近年の研究では、大人の脳にも可塑性(変化する能力)があることがわかってきており、適切な学習とトレーニングを積むことで、大人でも十分に英語を習得できることが示唆されています。

子どもと大人では、英語習得のメカニズムが異なります。それぞれの特性を理解し、年齢に合った学習方法を選ぶことが、英語習得への近道となります。

英語習得時間を短縮するためのポイント

英語習得には、ある程度の時間が必要ですが、学習方法を工夫することで、その時間を短縮することは可能です。闇雲に英語学習に取り組むのではなく、効率的な学習方法を実践することで、より短い時間で目標を達成することができます。この章では、英語習得時間を短縮するためのポイントを解説します。

目標設定の重要性

英語学習を始める前に、まず目標を設定しましょう。「いつまでに、どのレベルの英語力を身につけたいのか」を具体的に決めることで、学習計画を立てやすくなり、モチベーションを維持しやすくなります。目標は、高すぎる目標や漠然とした目標ではなく、現実的で達成可能な目標を設定することが大切です。例えば、「1年後にTOEICで800点を取る」「半年後に英語で日常会話ができるようになる」など、具体的な目標を設定しましょう。目標を設定したら、紙に書いて目に見える場所に貼っておくのも効果的です。目標を常に意識することで、学習意欲を高めることができます。

目標を細分化することも有効です。
例えば、「1年後にTOEICで800点を取る」という目標を、「1ヶ月で単語を100個覚える」「3ヶ月後に模擬試験で600点を取る」など、小さな目標に分割することで、達成感をより頻繁に味わうことができ、モチベーションを維持しやすくなります。

学習方法の工夫

英語学習には、さまざまな方法があります。自分に合った学習方法を見つけ、効率的に学習を進めることが、英語習得時間を短縮するための鍵となります。

    • インプットとアウトプットのバランス

英語学習は、インプット(聞く、読む)とアウトプット(話す、書く)のバランスが大切です。インプットばかり、またはアウトプットばかりでは、効率的に英語力を伸ばすことができません。例えば、英語のニュースや映画、ドラマなどを視聴してインプットした内容を、オンライン英会話や英会話カフェなどでアウトプットするなど、バランス良く学習するようにしましょう。

    • 多様な学習方法の組み合わせ

英語学習には、さまざまな方法があります。単語学習、文法学習、リスニング練習、スピーキング練習、リーディング練習、ライティング練習など、これらの学習方法をバランス良く組み合わせることで、より効果的に英語力を伸ばすことができます。例えば、単語帳を使って単語を覚えるだけでなく、覚えた単語を使って英文を作ってみたり、英語のニュース記事を読んでみたりするなど、さまざまな方法で英語に触れるようにしましょう。

    • スキマ時間の活用

英語学習は、まとまった時間が取れなくても、スキマ時間を活用することで、学習時間を確保することができます。例えば、通勤時間や通学時間に英語の音声を聞いたり、休憩時間に英語のアプリで単語学習をしたりするなど、日常生活の中で英語に触れる機会を増やしましょう。1日5分や10分でも、毎日継続することで、大きな成果につながります。

モチベーション維持の方法

英語学習は、長期戦です。モチベーションを維持できずに、途中で挫折してしまう人も少なくありません。英語学習を継続するためには、モチベーションを維持するための工夫が必要です。例えば、英語学習仲間を作ったり、英語学習のイベントに参加したりするのも良いでしょう。また、目標を達成したら、自分にご褒美を与えるのも効果的です。英語学習のモチベーションを維持するためには、英語学習を楽しむことが最も重要です。「英語ができるようになったら、何をしたいか」を具体的にイメージすることで、英語学習へのモチベーションを高めることができます。

継続のコツ

英語学習で最も大切なことは、継続することです。
しかし、モチベーションを維持し、毎日英語学習を続けるのは、簡単なことではありません。
継続するためには、

  • 無理のない計画を立てる
  • 学習を習慣化する
  • 完璧を求めすぎない

ことが大切です。

最初は、短時間の学習から始め、徐々に学習時間を増やしていくようにしましょう。
また、毎日同じ時間に英語学習をするなど、学習を習慣化することも効果的です。
そして、完璧を求めすぎず、間違えることを恐れずに英語を使うようにしましょう。

これらのポイントを押さえることで、英語習得に必要な時間を短縮し、効率的に英語力を向上させることができます。自分に合った学習方法を見つけ、楽しみながら英語学習を続けていきましょう。

年齢別|効果的な英語学習方法

英語学習方法は、年齢によって異なります。子どもの発達段階に合わせた学習方法を選ぶことで、より効果的に英語を学ぶことができます。この章では、年齢別に効果的な英語学習方法を紹介します。

幼児期(0~6歳)

幼児期は、英語の音に慣れ親しみ、英語を「楽しい」と感じさせることが最も重要です。この時期は、英語を「勉強」としてではなく、「遊び」として捉えさせましょう。具体的には、英語の歌を聴かせたり、英語の絵本を読み聞かせたり、英語のアニメを見せたりするのがおすすめです。また、親子で一緒に英語のゲームをしたり、英語で話しかけたりするのも良いでしょう。この時期は、英語のインプットを増やすことが大切です。たくさんの英語を聞くことで、英語特有の音やリズム、イントネーションを自然と身につけることができます。

この時期におすすめの教材は、

  • 英語の歌や童謡のCD、DVD
  • 英語の絵本
  • 英語のアニメや動画
  • 英語のゲームやアプリ

などです。

無理に英語を話させようとするのではなく、英語の音に触れる機会を増やすことを意識しましょう。そして、子どもが少しでも英語を話したり、理解できたりしたら、たくさん褒めてあげましょう。

小学生

小学生になると、文字の読み書きができるようになり、論理的な思考力も発達してきます。この時期は、英語の基礎をしっかりと固めることが大切です。英語の教材やアプリを使って、単語や文法を学ぶのも良いでしょう。また、英語の絵本や児童書を読んだり、英語のアニメや映画を見たりするのもおすすめです。さらに、英語教室に通ったり、オンライン英会話を利用したりするのも効果的です。ネイティブスピーカーの先生と話すことで、スピーキング力やリスニング力を高めることができます。

この時期におすすめの学習方法は、

  • フォニックス学習
  • 英語のゲームやクイズ
  • 簡単な英会話
  • 英語日記

などです。

小学生のうちは、英語学習を「楽しい」と感じさせることが大切です。
ゲームやクイズなど、遊びの要素を取り入れながら、英語学習を進めていきましょう。

中学生・高校生

中学生・高校生になると、学校の授業でも英語を学びますが、より実践的な英語力を身につけるためには、自主学習も重要になります。この時期は、自分のレベルや目的に合わせて、学習方法を選ぶことが大切です。例えば、TOEICや英検などの資格試験に挑戦するのも良いでしょう。資格試験の勉強を通して、語彙力や文法力、読解力、リスニング力、スピーキング力など、総合的な英語力を高めることができます。

この時期におすすめの学習方法は、

  • 洋楽を聴く
  • 英語のニュースや記事を読む
  • 英語の映画やドラマを見る
  • オンライン英会話
  • 英語でのディベートやディスカッション

などです。

中学生・高校生は、自分の興味のある分野の英語に触れることで、英語学習へのモチベーションを高く保つことができます。
また、積極的に英語を使う機会を作ることも大切です。

大学生・社会人

大学生や社会人は、自分の目的やレベルに合わせて、自由に学習方法を選ぶことができます。例えば、ビジネス英語を学びたい場合は、ビジネス英語に特化した教材やオンライン英会話を利用するのがおすすめです。また、海外旅行が好きであれば、旅行英会話を学ぶのも良いでしょう。さらに、TOEICやTOEFLなどの資格試験に挑戦するのも、英語力向上へのモチベーションを高める良い方法です。

この時期におすすめの学習方法は、

  • オンライン英会話
  • 洋書を読む
  • 英語のニュースやポッドキャストを聞く
  • 英語でプレゼンテーションや会議に参加する
  • 海外留学やワーキングホリデー

などです。

大学生や社会人は、自分の興味や関心のある分野の英語に触れることで、英語学習をより楽しむことができます。
また、積極的に英語を使う機会を作ることも大切です。

年齢に合わせた学習方法を選ぶことで、英語学習はより効果的になります。自分に合った学習方法を見つけ、楽しみながら英語学習を続けていきましょう。

英語習得にかかる時間は「学習方法」と「継続」で変わる

英語習得に必要な時間は、一概には言えません。学習者の年齢、母語、学習環境、目標レベルなど、さまざまな要因によって大きく異なるからです。しかし、学習方法を工夫し、継続することで、学習時間を短縮することは可能です。この章では、英語習得にかかる時間について、これまでの内容をまとめます。

学習方法の選択が重要

英語習得にかかる時間は、学習方法によって大きく左右されます。
自分に合った学習方法を見つけることが、英語習得への近道となります。
例えば、

  • 幼児期であれば、遊びを通して英語に触れる
  • 小学生であれば、ゲームやクイズ形式で楽しく学ぶ
  • 中高生であれば、自分の興味のある分野(音楽、映画など)と関連付けて学ぶ
  • 大学生や社会人であれば、ビジネス英語や資格試験対策など、目的を明確にして学ぶ

など、年齢やレベル、目的に合わせて、最適な学習方法を選択することが重要です。

また、一つの学習方法に固執せず、さまざまな学習方法を組み合わせることも効果的です。
例えば、

  • 英語の歌を聞く(インプット)
  • 歌詞を書き出す(アウトプット)
  • 歌ってみる(アウトプット)

など、インプットとアウトプットをバランス良く行うことで、より効果的に英語を習得することができます。

継続は力なり

英語習得において最も大切なのは、継続することです。
どんなに効果的な学習方法でも、継続しなければ意味がありません。
毎日少しずつでも良いので、英語に触れる時間を作るようにしましょう。
例えば、

  • 通勤・通学時間に英語の音声を聞く
  • 寝る前に英語の本を読む
  • 週末に英語の映画を見る

など、日常生活の中で英語に触れる機会を増やしましょう。

英語学習を継続するためには、モチベーションを維持することも重要です。
目標を設定したり、英語学習仲間を作ったり、英語学習のイベントに参加したりするなど、モチベーションを維持するための工夫をしましょう。
また、英語学習を楽しむことも大切です。
好きな洋楽を聴いたり、英語の映画やドラマを見たり、英語のゲームをしたりするなど、楽しみながら英語に触れることで、英語学習を継続しやすくなります。

英語習得には、時間がかかります。しかし、適切な学習方法を選び、継続することで、必ず目標を達成することができます。焦らず、諦めずに、楽しみながら英語学習を続けていきましょう。

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